坂口美里とガルダスト


「母の日のプレゼントにね。ちょっと、気が利いているでしょ?」


 もちろんこれは逃げるための言い訳。家のお母さんは、まったくお酒の飲めない人だ。


 ちなみにこれで、私の今年のお年玉・・・貯金額は全て消え去った。


 これで、ガルダストが動かなかったら、このビール製造会社に脅迫文を送りつけてやろう。


「そ、そうか?・・・まぁいいけど、あ、ちょっと待ってな。今親父呼んでくるから・・・。親父~配達頼む!」


 裏手に向かって大声を上げる隆。


 さすがに、お父さんまで繰り出すことになると、多少、申し訳ない気持ちになる。


 仕事中なのに、私の我が侭で中断させてしまうのだから。


「あ、うん。ごめんね。ありがとう。」


 両手を重ねて、あやまる私。


 でも、そういうことは、隆ではなく、運んでくれる隆のお父さんに直接言うべきだと気が付いたのは、それからすぐだった・・・。



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