坂口美里とガルダスト
ごしょう

 その日の夜。


 元の世界に戻った私は、自分の部屋で勉強をしていているであろう、兄貴の部屋に行く。


「兄貴、いる?」


 ノックもなしに部屋のドアを開ける私。


「うわっ、お前、いきなりあけるなノックをしろといつも言っているだろう?」


 その瞬間、慌てて何か本らしきものを私の前から隠す兄貴。


 まぁ、その様子から、何やっていたのかは想像つくけど、こいつも分かりやすい男だ・・・。


「ごめんごめん。ところで、兄貴。ちょっと私の部屋に来てくれない?」


「?・・・どうした?」


「いや、どうしても勉強で分からないところがあってさ・・・。兄貴なら分かるかなぁ~と思って。お願い!」


 両手を重ねて頭を下げる。


 こんなヤツに、こんなコトをする日が来るとは・・・。


「はぁ~?だったら、その問題、もってこいよ。ここで見てやるから・・・。」


 くっ!そんな手段に出たか、この男・・・。


「ダメなんだよ。どうしても、私の部屋じゃないと・・・。」


 無理やり兄貴の手をとって、引っ張り出す。


 その瞬間、肌色満載の本が机から、ポトリと落ちたが、とりあえず今は見なかったことにしといてやろう。

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