坂口美里とガルダスト
「お前、馬鹿か?ロボット工学なんて、大学に入ってからでも・・・。」
「そんな年齢まで待てないよ。腹工にはロボット部だってあるし、年に二回。ロボットコンテストへの参加もしている。しかも、一昨年は全国大会まで行ってるんだよ?」
ただし、一回戦負け。
それでも、その映像は私の中で半ばあきらめていたガルダストパイロットの夢を思い出させるには、十分すぎるものだった。
あの鮮烈な映像はいまだにハッキリと思い出すことができる。
「あんなの、腹工の中でも一部のおかしな連中が入るような部活だろう?」
「でも私決めたの!これでも、散々悩んだんだから・・・。」
「それでも、お前腹工なんて、駅の反対方向だろう?」
確か、隆の志望校は兄貴と同じ神谷大学付属高校。
このまま、お互いが志望校に行くことになったら、お互い全然違う方向の大学に行くことになる。
中学校みたいにお互いに同じく並んで登校なんてできなくなる。
そんなこと、たいしたことではないような気がするのだが・・・。
「まぁ、そうだけどさ・・・。あ、着いたよ。」
話から逃げるように、見えてきた丸の内公園を指差す。
とりあえず、進路の話はここまで。
私たちは思考回路を先の見えない将来のことから、目の前に広がる光景へと切り替える。
緑が広がる丸の内公園。
普段は、お爺さんの日向ぼっこと、子どもの遊び場所になっているが、月に二回だけ、その表情を変える。
フリーマーケット。
今日の予算は、2000円。
これで、できるだけ良いものを、たくさん買うぞ!!
私たちは、気合を入れて、足を踏み込む。
最初に見るものは、とりあえず服。
いくらピンク色が好きだからって、デザインを怠るわけには行かない。