Birth
私は体の向きを変え、用事のあった、おばあちゃんの患者さんに薬を渡した。



そのおばあちゃんもニコニコしながら、三人のやり取りを聞いている。




「若い人はいいわねー。未来や夢があって。
でも…私も成海先生のファンなのよ。」



そう言って、私にウインクした。


その姿が、とてもチャーミングだった。




「そうなんですか?」



私も笑顔で返す。




「あの、シャイな所がいいのよね♪」


と、おばあちゃん。




「えっ…シャイ? あの口が悪くて、態度のデカイ成海先生がですか?」





この前の衝突以来、私の中での先生の印象が、かなり悪くなっていた。



だから患者さんに向かって、先生の悪口ともとれる様な事を、つい言ってしまった。





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