ロング・ディスタンス
転落
 平穏な日々が流れ、辺りはすっかり涼しくなってきた。

 いつものように仕事を終えた栞は、最寄り駅からアパートまでの道を歩いていた。最近、心が軽くなったお陰で仕事の方も順調にこなせるようになってきた。今日は仕事で後輩の泉がしでかした失敗をカバーし、泉自身や同僚に感謝をされた。栞は足取りも軽く、鼻歌交じりで通りを歩いている。人生は明らかに良い方へ進んでいる。こんな日は自分にちょっぴりご褒美をあげたいと思い、彼女はデパ地下の高級惣菜を買って帰った。
< 133 / 283 >

この作品をシェア

pagetop