ロング・ディスタンス
 今年一番の冷え込みが襲う朝のことだ。

 まだ薄暗い中、栞は寝間着の上にガウンを羽織り、そっと部屋を抜け出した。

 病棟を上がり、早朝の誰もいない屋上に出た。
 コンクリの床が、一面霜で覆われている。
 

 栞は白い息を吐きながら、屋上の鉄柵に近づいた。
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