ロング・ディスタンス
 竹村成美は26歳の小学校教師である。今年で27歳になる。

 地元の教育大学を出てから、一年の浪人を経て公立学校の教員に採用された。 二年前から中学年の学級担任を任されるようになった。
 今度の6月に大学時代からの彼と結婚することが決まった。彼、光太郎は教育大での同級生で、同じゼミの仲間だった。彼は地元の教員採用試験に一発で合格し、成美よりも一足早く教師としてのキャリアをスタートさせた。彼は現在、市内の別の小学校に勤務している。同級生として、また教職の先輩として、光太郎はいつも成美を温かく見守ってくれた。仕事で壁にぶつかった時は、同業者として成美を励ましてくれた。

 光太郎は恋人であると同時に、良き友であり、同じ道を進む戦友のような存在である。彼が学級担任として、中学年の時から持ち上がっていた生徒を送り出したのを一つの節目として、二人は結婚をすることにした。
卒業式の後のロングホームルームで、光太郎は生徒たちに自分の結婚の予定を打ち明けた。彼は教え子から温かい拍手と祝福の言葉をもらった。教師冥利に尽きる瞬間である。
 二人は、家族、友人、職場の同僚、教え子たちから祝福されて結婚をする。今はその幸せを思い存分噛みしめている。
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