ロング・ディスタンス
 時刻は六時半を回り、辺りは暗くなりかけている。
「じゃあ、私は6番のバスに乗るから、これで失礼します」
 栞は頭を下げる。
「児島さん。送っていこうか」
 長濱がたずねる。
「いえ。結構です。まだちょっと明るいし。先生は明日早番だから、早くお帰りください」
「そう。わかった」
 栞はもう一度頭を下げてその場を後にしようとした。
「あの、児島さん」
 長濱がまた声を掛けてくる。
「何ですか」
 栞は横顔だけを後ろに向け、体の向きは変えなかった。彼女の長い黒髪がハラリと揺れた。
 長濱は思い切ってたずねた。
「良かったらまた会ってほしいんだ。今度は二人だけで」
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