特別番外編・暗闇の鎌・中国人ストーカー
 降りる駅は前後と真ん中、三箇所に出口があった。


私はお店に一番近い、前方の車両のドア付近にいつも立っていた。


乗り換えてからは二つ先だったので、すぐに着くし、座ることはなかった。


5分に1本。流石に車内はガラガラ。


銀色の手すりを掴み、ドアの窓に反射して映る自分の姿をぼんやり見つめてみる。


窓には他の人も映りこんでいるのに気づいた。


斜め後ろにスーツを着た男の人が立っていたのだ。


空いている車内に、背後に立つという行為は、それだけでちょっとびっくりする。
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