ヘビロテ躁鬱女
飲み会
 私は先に上がり、下の階の白樺で飲んでいた。


今日は最悪だった。時給が上がらないのは別にいい。でも理由が聞かされたことと、違う気がしてならなかった。


ワイングラスをドンとテーブルに叩きつけるように置いた。


――不倫の話。衣舞に言ってしまおうか……。


「お待たせ~狂子。愛子に色々教えていたら遅くなちゃった。ごめんね? 店長って、コロコロ言うことが変わるのよね……

機嫌――悪そうね? ワイン奢るから許してよ。

あ! お兄さん、ワイングラスもう一つ! あと、いつもの赤ワインのボトルを持って来て頂戴」


衣舞は私の顔色を窺った。少々遅れるぐらいで怒ったりしない。


「不機嫌なのは……愛子のせいだよ」
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