【完】春紫苑
「誰か、誰か!」
携帯を握りしめたまま部屋を飛び出し叫んだ。
「どうなさいました、お嬢様」
その声を聞き付けたお手伝いさんたちが、ぞくぞくとやって来る。
「救急車呼んで、お願い、早く。お祖父様の病院に…救急車」
「しっかりしてください、お嬢様」
体は震えていた。
頭の中は真っ白。
だって、だって信じられないじゃん。
さっきの将光の言葉を思い返す。
『帰ったら……母さんが……』
「将光のお母さんが……誰かに……
刺されたって……」