【完】春紫苑
「弱ったな…美琴の前では泣かないって決めてたのに…ハハ。マジだっせー」
弱々しく呟いた将光。
「バカ、バカ、バカ。頼ってよって言ってんじゃん。何で、そんなこと言うのよ……」
「そうだったな……」
「将光…私がいるから。私は……いるから」
「美琴……美琴。美琴……」
何度も私の名前を呼びながら、震える手で抱き締める。
私たちはまだ知らなかった。
こんなの、これから始まる悲劇のほんの始まりに過ぎないなんて……。