【完】春紫苑
再び歩き出した私たちを生暖かい風が包んだ。
スカートが、髪が風に吹かれ、揺れる。
思わず目をつぶる。
「……ったく、…もう終わりかよ」
将光の声が聞こえ、その意味が分からず私は目をあけ彼を見る。
だけど、将光はその視線に答えることなく。
ただ、遠くを見つめていた。
人が多すぎて、彼が何を見ているかは分からない。
分からない、分からないから。
────不安なんだ。
なにかを決めたような貴方の瞳が。
諦めたような、貴方の言葉が。
遠くを見たまま、私を見ない貴方の視線が。