暗闇の鎌【読みきり短編集】

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「鑑定は終わったぞ。遺体を引き取りに来てくれ。鑑定料は約束の一千万じゃぞ？　

悪縁が切れてよかったな。君の言うように赤い糸は、バッチリ切り刻んでおいたからな……

取りあえず話は後じゃ。すぐに来てくれ」


携帯を閉じ、あらかじめ用意してあった濡れタオルで顔を拭った。


テーブルに上半身を預けている血塗れの女をもう一度じっくりと見下ろす。血生臭い空気を吸い込み、ふぅーと強く吐き出した。


――これで男の悩みだけじゃなく、係長の悩みも一石二鳥万々歳じゃ。


この女には悪いが、占い師は金が第一、次に依頼者を大切にするのじゃ。


だが、お前さんの悩みも解決しただろう？　


これで一生、しつこい相手と縁を切れるのだから――。