暗闇の鎌【読みきり短編集】
 足元から氷が張っていくように冷たくなり、指先が凍えたように戦慄く。それでももう一度、もう一度鏡の自分を見たい。


ガタガタと揺れる片手に集中し、鏡を近くに手繰り寄せた。


「青い鏡が血で混じり紫に……

紫の鏡……

そういえば紫の鏡って、二十歳になるまでに忘れられないと死ぬという都市伝説があったっけ……

こういうことだったんだね……」


目の前に闇が迫ってくる。


美しい自分を脳裏に焼きつければ、恐怖心なんてどこかに吹っ飛んでしまうに違いない。


永遠に歳を取らない美しい私を思い描き、そっと眼を閉じ、身を委ねた。
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