暗闇の鎌【読みきり短編集】
「なぁーんだ。お姉さん、幸せになれたんだ。おもしろくないのぉ~」


ふてくされて足元の小石を蹴った。


これでまた新たな心の闇を抱えている人間を探さなくてはいけない。


闇を持つ人間が、地の底に堕ちるのは唯一の楽しみだった。


自分が不幸じゃないと確かめられる動作の一つだからだ。


「幸せになったものを壊すのはセオリーじゃないし、また懲りずに捜すかな~」


そうぼやくと、また暗闇にスキップし、そっとその場をデリラは離れていった。
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