暗闇の鎌【読みきり短編集】
「行ってきます」

「あなた~ついでにゴミも捨てといてね」


いつもこうだ。遠くから当たり前のように物事を頼む。俺は、貴方という名の奴隷だ。


もちろん出迎えもなし。妻は俺に頼みごとを申し付けると安心し、またベットへと潜り込む。


だが、そんな些細なことで言い合いをする気にはもうなれない。


リカバリーされた体が、朝からまた疲れきってしまうのは避けたい。


結局俺が折れないと、永遠に続くと思われる言い合いになるからだ。そんな試合、これから行われる朝の会議より辛い。


そういえば昨夜のテレビ番組で女性タレントが、男は釣った魚に餌をやらないだの、はじめだけだの、いろいろ文句を言っていた。


あれは間違いだと思う。男も女も関係ない。人によって、相手に気を使える期間が違うだけだ。
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