暗闇の鎌【読みきり短編集】
「わしは良かれと思って相談に乗っているだけじゃ……

おお、そうじゃった肝心の縁切りが残っておった。安心しなさい! これで大丈夫じゃ!」


オジイサンはそう言うと、躊躇うことなく手首にメスを滑らせた。ぴっと引かれる、浅い切り傷でさえ十分痛い。


「た、助けて下さい……お願いですから、家に帰して」


「まだまだ足りん! 開運! 開運!」


メスは更に深く差し込まれ、左端から右端までたどり着くと、容赦なく右から左へと返した。シーツは紅に染まり、手首も血でどろどろだ。


自分から出た赤黒いモノを見ただけで、軽い眩暈に襲われた。


「うげっ!!」


「これでフィニッシュ!!!! ザ、開運!!!!」

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