未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2
俺は大輔さんから聞いた話の場所、駅の改札前に来てみた。
綾と語り明かし朝を迎えたあの日、大輔さんと上野が綾に偶然会ったという場所だ。
ベンチの座り、行き交う人たちの姿を眺めながら、数時間前に大輔さんから聞いたあの日のことを、耳にした通りに思い浮かべていた。
『――実は恭司と綾さんに会った翌日、宇都宮駅で綾さんに会った。俺は後姿しか見てないんだが。その日は偶然だぞ、俺が切符を買いに行っているときに綾さんのほうが百合に気付いて駆け寄ってきたらしい。百合の話だと、綾さんはバッグを盗まれてしまってその中には携帯電話も入っていたらしくて――。お前の電話番号を知っていたら教えてほしいと、綾さんは胸に抱いていたスケッチブックを開き、鉛筆と一緒に上野に渡そうとした。受け取り損ねて落としてしまったスケッチブックを拾ったとき、中身が見えてしまったらしい。恭司、そこにはお前がたくさんいたって。それを見てしまって百合は、知らないんですと、スケッチブックを返してしまったと言って――。泣いていたよ――』