未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2

14.したたか



大輔さんは腕を組んで「ん~」っと深く息を吐いたまま、言葉を発しなかった。

(何だろう?)と思いながらも、なんだか気まずい空気が漂っている感がしていて、俺も黙っていた。


「大輔、飲む?」


康則さんがビールを三本持ってきた。

「ほら、恭も飲めよ」ポンっと俺の目の前にも一本置いてくれたが、俺はそれを康則さんのほうに押し戻す。


「いや、俺、車だから」

「じゃあ、飲ませるわけにはいかないね」


横から、静さんがその一本を取り、缶を開けて飲み始める。

勢いよく、半分くらい飲んだ。

そして、大輔さんのほうに視線を向ける。


「あのコはやめたほうがいいって、忠告してあげてたのにね」


大輔さんの顔が赤くなった。

それは図星を指された後のバツの悪さのようにも感じた。

もしかして、大輔さんと上野は――。
< 47 / 121 >

この作品をシェア

pagetop