未成年・恭~【恭&綾シリーズ】2

15.一人だけに向かう気持ち



上野にマジで惚れているんだなぁと、大輔さんの表情からひしひしと感じて、俺はこの場に居辛かった。


「俺、そろそろ行きます。明日、早いんで」

「そうか。今度ゆっくり飲もうぜ」


いつもはしつこいくらいに引き止める康則さんが、今日はすんなりと言葉を受け入れてくれた。


「静さん、大輔さん、それじゃまた」


俺が立ち上がり、玄関へ向かうと大輔さんが追ってきた。


「恭司、――百合はいいコだよ。静はあんな風に言うけれど、本当にいいコだよ。心底お前に惚れてんだ。だから、優しくしてやってくれ」


語尾が小さくなっていく大輔さんを小さく感じる。

いつも威勢がいいのに。

いつもドンとしているような人なのに。


< 50 / 121 >

この作品をシェア

pagetop