She Loves Me


少しだけはねた前髪は寝癖だろうか。



「おはよう、イガラシ」



フラフラと席につくイガラシに、明るく挨拶をする。



「今日は早いんだね」

「あー。いいんちょーが遅刻すんなって言ったんじゃん」



昨日のメール、読んでくれてたんだ。

ちゃんと遅刻せずに来たんだ。



「エライ、エライ」

そう言って、あたしは立ち上がって机にうっつぷしたイガラシの頭をよしよし、と撫でた。



「なにそれ?」

「昔ね、うちの手伝いしたり、ご飯残さず食べるとお母さんが必ず頭を撫でてくれてたんだ。エライね、って。だから、イガラシもエライ、エライ」



なんだかあたしは嬉しかった。
< 80 / 100 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop