【完】カテキョはイケメン王子様!~アブナイ恋のお勉強~





そうやって、皐君に近付こうとすれば、
避けられる。



痛む胸に泣きそうになった。



「……何。どうしたの、如月」



"如月"。



杏子、って呼んでくれていたのに、いつ
のまにか名字に戻ってしまっていた呼び
方。



どうして?なんでなの……?


私のことが、もう嫌いですか?



「皐君……どうして、避けるの……」



ポロリとこぼれたら声は、自分でもびっ
くりするくらい弱々しくて、泣きそうだ
った。



皐君がこっちを見た気がしたけど、もう
ダメ。視界が潤んで、歪むから、皐君の
顔がボヤけてよくわからない。



それでも、掴んだ服の裾は離さなかった




「もう杏子って呼んでくれないの?どう
して目を逸らすの……」





< 270 / 361 >

この作品をシェア

pagetop