ラストコール
六日目
自然と、この時間に目が覚めてしまうようだ。
時間を確認しようとして携帯を開いたら待ちうけが着信画面に変わった。
『もしもし、昨日大丈夫だった?』
「あぁ、すまなかった。」
『何事もないならいいんだけど。』
彼女はいつも通りだ。あちらには変化がないらしい。まぁ、いいか。考えることを止めた僕は彼女の声に耳を傾ける。
『ねぇ、誠一』
「なんだ?」
『好きな人いる?』
照れたような彼女の声が僕の中に新しい疑問を生んだ。
「いきなりどうした?」
『いいから、答えてよ。』
何もよくない。僕の答えを待っているのか彼女は無言になった。
残念ながらそのような人は僕にはいない。そう、もう"居ない"のだ。
「…いないよ」
『…そっか』
はぁとため息をつかれ、明らかに落胆した声がかえってきた。何故だから分からないが少し眉間に皺がよる。僕の回答が気に食わなかったのか。
「なんなんだ」
『いないならいいの。分からないと思うから。』
何がだ。そう言ってやりたいが彼女は理由を話すつもりはないようだ。
『…はあ』
また小さくため息をつかれた。
何故、突然そんなことを言ったのか。そのため息の理由はなんなのか。気になってしまったら仕方が無い。僕は前言撤回をすることにした。
「…いる」
『えっ…』
「好きな人。…いるよ」
正確にいうなら"いた"だが。
『本当?!』
先程より一気に晴れた声に無意識に口角が上がる。肯定の言葉を言うと「あのね、」と弾んだ声で言ってきた。
『誠一って好きな人と話す時、どうやって話してるのかなぁって…』
「…どんなって」
好きな人と話すとき。どきどきはしていたがそれ以外はー....
< 9 / 23 >

この作品をシェア

pagetop