くるうみ。~あなたと過ごした3日間~





でも結局、午前中に野島の目があたしを見て、その口があたしを呼ぶ事はなかった。




「あんたたちケンカでもしたわけ?」


3時間目に保健室から帰ってきた亜美さえそう言うほど、野島はあたしだけを意識的に避けてたように見えた。


「あたしだってわかんないよ」


自分でいっぱいいっぱいの亜美も思いやれず、イラついたあたしは昨日と同じ物置小屋に向かう。


もしかしたらと期待したけど、茶虎の子猫以外に現れるはずの姿はない。


……お昼休みギリギリまで待ってみた。


子猫には自分のおかずを分けて、もうひとつのランチバックは開かない。


「きっとなにか用事ができたんだよね。でなきゃあいつがあんたをほっとくはずないもん」


あたしは茶虎の子猫に話しかけたけど、もちろん返事なんかない。


だけど、誰かに話を聴いて貰わなきゃ何かがぐらつきそうな気がして。


あたしという人間を支える根っこの部分が、大切な大切な場所が。


「きっと来るよね……」


あたしはそう言いながら子猫を膝に載せて撫でたけど、そう言い聞かせたかったのは自分自身だったのかもしれない。
< 148 / 305 >

この作品をシェア

pagetop