くるうみ。~あなたと過ごした3日間~

――5分後。


明石先輩がコホン、とせき払いをしたから、あたしはピクリと体が過剰に反応する。


明石先輩は窓のそばにある定位置の椅子に腰かけてキャンバスに向かってたけど、今はあたしの方に体をひねって顔を向けた。


「あ~~……鈴本(すずもと)さん……気持ちはありがたいよ。だけど……ごめん」


……玉砕、しましたか。


明石先輩の申し訳なさそうな顔に、あたしは乾いた笑顔を作って明るく返した。


「いやだ、先輩! なにか誤解しちゃいました? そんな深刻になるほど深い意味はないんですって。ただの先輩後輩としての好意だけですよ!」


からからと笑った後、自分が描いてる水彩画の用意をする振りをしてその場に屈んだ。


自分の目元に光るものを見られないように。
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