くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
「ねえ、勇人。どこまで行くの? お腹が空いたからお昼ご飯をどうにかしようよ」


あたしが言うと、勇人は初めてこちらの様子に気がついた様に振り向いて頭を掻いた。


「お、そっか。悪い悪い! ついつい夢中で自分のペースで行っちまう」


勇人はそう言ってナイフを持ったまま目を閉じ、藪の中で仁王立ちした。


……何してるんだろ?


声を掛けてみたかったけど、なんか邪魔しちゃいけない気もするな。


顎を軽く上げて何かを感じ取るように天を仰ぐ勇人は、本当に微動だにしない。


木々の梢が湿り気を帯びた風に揺れてザワザワと鳴る。


空を仰ぎ見ると、あたしでもわかる位に空が暗くぶ厚い雲に覆われてきた。


やっぱ雨が降るんだろうな……早めに寝床探さないと。


傘なんて文明的なものはもちろん携帯許可されてないから、どしゃ降りが来たらマジ最悪だよ。


それを考えたらなんだかイライラしてきた。


早く安全な場所を見つけたかった焦りだと思う。


だけど、それは勇人の一言で霧散した。
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