くるうみ。~あなたと過ごした3日間~
あたしの体は地面に激突する直前、野島の腕に抱き留められた。


心臓が跳ねた。


野島の思ったより逞しい腕と力強さ、広い胸。


息が詰まりそう。


頭が変になる。


「大丈夫か?」


野島の声が耳元で聴こえた瞬間、あたしはヤツの腕の中から弾けるように飛び出した。


「あ、ありがとう……何ともなかったよ」


声が震えないように注意しながら、なんとかそれだけ言えた。


だから、その時に野島が浮かべた複雑な表情の本当の意味なんか掴めなかった。


「そっか……雨、止んだな」


野島が空を振り仰いだからあたしもつられて見ると、きらきらした雨粒が夕陽に照らされ、周りを柔らかな光に包んでた。


そして、夕方には珍しく空には虹がかかってた。


「ほれ、乗れよ」


いつの間にか野島はあたしの前にしゃがんで背を向けてた。


「え、なに?」


「おぶってやるっての。その足じゃ歩けないだろ? ムリに歩いたら酷くなるぞ」


野島があたしを背負う!?


と言うことは、あたしのお尻や足に触れるって事?


……………


「えええ~やだあ!」


「なら勝手に歩いてけよ!オレだってほっといても困りゃしないんだからな」
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