予言と未来



直径10センチくらいの大きさの傷が、腹から背中に掛けて貫通しており、筋肉や骨が僅かに見えている。



溢れ出す血を止めようと、レイムは必死に両手で抑え込み、回復(ヒール)を使っているが、効果は余り無いようだった。



「レイム、私も手伝う!」



レイムと共に傷口を押さえ付けると、ライネスは小さく呻いた。



「ライネス! 大丈夫だから!」



必死に声を掛けると、ライネスは薄く目を開き、小さく頷く。傷の割に、意識は しっかりしているようだ。



その時。



「あんた達、邪魔なんだけど。」



愛光とレイムの後ろから、声が聞こえた。



振り返ると、不敵な笑みを浮かべたウィロアの姿。



「私はライネスを連れて行くんだって言ったじゃない。」



ウィロアが手に神霊を集めながら、手を伸ばす。愛光はレイムとライネスを守るように、一歩 前に出た。



「何が目的か知らないけど、私達だって仲間を敵に渡す気は無い。」



ウィロアの瞳を真っ直ぐに見つめ、言い放つ。



その瞬間。



ウィロアの手が愛光に向かって素早く伸びた。

< 165 / 258 >

この作品をシェア

pagetop