予言と未来
予言と未来



「もう、1ヶ月も経ったんだね。」



村から少し離れた荒野の真ん中に、小さな お墓が在った。その前に跪き、手を合わせ、愛光は小さく笑った。



元は雷龍が建てた家が在った場所。今は その家は取り壊されて、代わりに お墓が建っている。



「私は元気だよ……ライネス。」



予言に謳われた戦いが終わり、愛光達は大爺様の元へと帰った。



其処で戦いの傷を癒し続けて1ヶ月。



空界は、驚く程 平和だった。



悪魔が この地を襲っていた事等 嘘だったかのように。もう誰かが傷付く事も、泣く事も無い。



「……ライネスが生贄に なってくれた お陰だね。」



初めは受け入れられなかった。女神イラを、心の底から睨んだ。



けれど、1ヶ月 考え続けて、現実を受け入れる事が出来るように なった。



あの時のライネスは、本当に幸せそうな顔を していたから。



「もっと、話したかった。もっと、貴方を知りたかった。でもね、貴方が決めた事だから、受け入れる事に したよ。」



そう呟いて、お墓に笑い掛ける。



ライネスに、その言葉が聴こえていると、信じて。

< 247 / 258 >

この作品をシェア

pagetop