予言と未来
家の中に入り、台所を通り抜け、寝室へと入ったライネスは、内側から鍵を掛けた扉に背を預け、俯いた。
ウィンに壊された家の扉は そのままだが、怒鳴ってしまった以上、彼女等が これ以上 干渉して来る事は無いだろうし、この辺りに人は住んでいないから誰かが入って来る事も無いだろう。
リホに言われた言葉が頭を ぐるぐると回り、ライネスは目を ぎゅっと瞑った。
――貴方自身は、何も変わってない。
「……五月蝿い……っ。」
掠れた声で呟いて、ライネスは金髪を くしゃっと握る。
「……違う……変わったんだ……もう、あの頃には……あの頃の俺には、戻れないんだ……。」
胸を焼く痛みに耐えられなくなって、ずるずると背中が扉を滑り、ライネスは その場に座り込んだ。
――昔みたいに弱くない。
「……五月蝿い……五月蝿い……。」
譫言(うわごと)のように繰り返し、尚も金髪を くしゃくしゃと乱す。
「……弱いままだ……だから独りで生きるんだ……解ってくれ……。」
誰かに聞かせるように語る。
「……犯した“罪”が、露に なるのが、怖いから……。」