予言と未来
護る為に







「……はぁ……。」



額に浮かぶ汗を腕で拭い、ライネスは溜め息を ついた。今 彼は、この前 愛光達が訪ねて来た時にウィンによって壊された扉を、新しく作っている所だ。



空界に季節は無いが、今日は若干 蒸し暑く、釘をトンカチで打つだけで汗が出て来る。それでも見上げれば、上には真っ青な空。



過去の出来事すら消してしまえそうな、綺麗な空。



和やかな気持ちで再び目線を扉に戻し、ライネスは はっと息を飲んだ。



(……悪魔の気配!?)



ばっと後ろを振り返れば、其処にはマントを羽織り、フードを被った男が1人。



「雷龍のライネスで、間違いないな。」


「…………。」



ライネスは無言で立ち上がる。それが、肯定を意味していた。



男がフードを ゆっくりと取る。



ライネスの予想通り、彼の髪と瞳は真っ黒だった。



その男が合図を すると、周りの木々の間から、次々と悪魔が姿を現した。その数は、ざっと50名程。



「……………っ。」



ライネスは ゆっくりと後退る。



(数が……多過ぎる。)



そんなライネスの様子を見て、最初に彼に声を掛けた悪魔は、ふっと笑った。

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