予言と未来
アニメでも、漫画でも、2次元の登場人物は、辛く、苦しい想いを する。
それでも、最後は皆、幸せに なるのだ。
(……私は、幸せには なれないから……。)
祖母しか居ない愛光の家は、美雪の言う通り、貧しい。
だから愛光は塾には行っていないし、ピアノを習いたいのも我慢しているし、大学に行くのも諦めた。
少しでも早く就職して、今迄 育ててくれた祖母に、恩返しが したい。
世の中には奨学金制度なんてものが在るらしいが、大学を卒業してから それを返しつつ、生活して行くなんて、不可能だと思った。
今時、高卒で就職なんて子は殆ど居ないし、きっと これからも、自分は苦労する。
(……なぁんてね。)
愛光は無理矢理 笑顔に なる。
自分を憐れんでは いけない。祖母が居てくれるだけで、私は幸せなんだ。
早く帰ろうと愛光は歩調を早め。
「…………っ!」
「きゃっ!?」
誰かと ぶつかってしまった。
「痛た……御免なさい!」
ぶつけた鼻を押さえて、慌てて謝った愛光は。
目の前に居る1人の少女を見て、ぽかんと口を開けてしまった。