1Pの……。

落ちてゆく



僕の身体は落ちてゆく
ただ落ちるだけ

足が地に着かない
永遠に着かない

ジェットコースターの上から落ちる瞬間がずっと続く。
足のつま先から、ざわざわとした寒気としびれたような感覚、今、誰かに触れられると爆発してしまいそうな感覚。

落とし穴に永遠に落ち続ける感覚。

身体中にまとわりつく不快感。

目を開けばグレーの世界。

ただそれだけ。

落ちてゆく
堕ちてゆく

きっと永遠に。

胃がせり上がり、吐き気が止まらない。

血が逆流して頭が締め付けられる。


きっかけは彼の怒り。

そのドアを開くと
南国の世界が広がるはずだった。

彼のどら焼きを
こっそり食べたばっかりに

彼は『どこでもドア』の片方をポケットにしまい込んだ。

ドアが開くまで

僕は永遠に落ちてゆく。


ラストのない世界へと

  【完】
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