テイスト・キッス。【短編】
初めての


サラサラの薄茶色の髪。


伏せられた長い睫毛。









そして、薄く閉じられた唇。






それを見た瞬間、あたしは「触れたい」と思った。




思うだけではなく、無意識に実行までしていた……らしい。



自分の長く二つに括った髪の毛が、彼の頬をくすぐる。


そんな簡単なことにも気付けないほど夢中になっていた。



気付いたのは、漏れ聞こえた小さな声。


「……ん」



あたしは一気に現実に引き戻され、慌てて離れようとした。






……が。



離れられない。

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