テイスト・キッス。【短編】

あたしの言葉を聞いて、突然柏木さんが声を荒げた。




『君じゃない』


神藤くんはほぼ必ずそう言って告白を断るらしい。



それを聞く度、あたしは口元が緩みそうになる。



神藤くんが付き合うなら、きっと彼が吸血鬼であることを受け入れられる女の子でないといけない。



それって、『あたしじゃないとダメ』って言われてるみたいで―――……。



……って、何考えてるのよ。


あたしは別に神藤くんと付き合ってるわけでも、好きでもないくせに。


あたしと神藤くんはただ血を分け合うだけの関係なのに―――……。



「元気出してね?」



あたしは柏木さんにどう接したらいいかわからなくて、一言そう言うと、自分の席に向かった。






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