今すぐここで抱きしめて
資料室の秘密
今朝、目を覚ました時にはもう山瀬さんはいなかった。


ソファーにいたはずなのにベッドに寝かされていて、リビングには小さな箱とメモがあった。


“おめでとう”


達筆に書かれた素っ気ない一言。


箱の中身は小さな石のついたピアスだった。


昨日は頭に血がのぼって、結局、山瀬さんに何も言えなかった。


飯田くんは誰にも言わないって言ってたけど本当かどうかなんて分からないし。


むしろ、昨日の私の態度の腹いせにもうスタッフ中に触れ回っているかもしれない。


これってやっぱり、ヤバイよね……


大きな溜め息をついて、重い身体に鞭打つように仕事に行く用意をし始めた。


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