水ノ宮の陰陽師と巫女
学園祭が始まった。

各学年、各クラス、色々な出し物がある。

定番の『お化け屋敷』や『メイドカフェ』が多い。

その中でも、私のクラスは、『カフェ』+『占い』だったので、絶え間なく、占いをしてほしい女子生徒が多い。

教室に入りきれず廊下に並ぶほどで、最後尾を知らせる立札を出さなければならないほどだ。

教室の中では、『占い』は、小さなブースを作り、机を挟んで真理と占いをしてほしい女子が向かい合うように、セッティングをしているので、ブースのスペース自体はそれほど広いわけではない。

占いをしてもらう女子や、お茶やクッキーなどを楽しみに来る学生で、私たちのクラスは意外と客数は多かった。

カフェを担当する私たち他の生徒は、制服にエプロン姿で、接客をし、占いのことを聞かれたりもする。

列をなす、占いの方も、真理の負担を考えて、2時間に1回は10分ほどの休憩を入れていた。

カフェのスタッフ役の私たちも交代で、他のクラスに遊びに行ったりもしていたからだ。

「真理?ほい、差し入れ」

カーテンを開けて占いブースにいる真理に冷えたお茶を差し入れた。

「結構大変?」

「うん、恋愛の相談が多くてね……。」

真理の姿を見ると、赤いローブを羽織り、ちょっと癖のある髪、薄めではあるがメイクも手伝い、まるで魔性の女性に見える。

元々目鼻立ちがはっきりしている美少女なので、余計にミステリアスさが増している。

「好きな相手に、彼女がいると憎いとか、うまく彼と付き合える方法はないかとか、そんなのばっかりよ」

「ふーん。そんなに恋人、彼氏って欲しいのかなぁ?私には、よくわからないけど」

「高校生にもなれば、そうなんじゃない? 楓は好きな人いないの?」

「へっ? 私?いない、いない。いても付き合うとか余裕ないかなぁ? って、真理の方こそどうなのよ」

切り替えして真理の彼氏事情を聞こうとしたら、真理もいないらしい。

お互い、まだ彼氏はいいかなぁっていう感じだった。

「それじゃ、そろそろ休憩時間も終わりになりそうだし、頑張って!」

「うん。楓……、ありがとう」

と、ニッコリ笑って私を送りだした。

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