そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
そして俺は彼女をまっすぐみつめて

「ありがとうひな。幸せになれ」

そうつぶやいたそれは本心だった。

転勤してきたとき…カノジョに似たひなに出会った。

それは俺に衝撃を与え、しばらくは動揺を隠すのに
精いっぱいだった。

だからこそ俺は彼女とだけはこういう関係になりたくなかった。

しばらく、同僚として上手く距離を保ていたので、油断していた…

彼女は、自ら俺の心にわけもわからないまま
土足で踏み込んできてしまった。
躰を差し出すと言って…

だから、それを逆手にとって彼女とはそれ以後も
一定の距離を保ってきた。

「セフレ」という関係が色々な意味で後腐れないはず。

それなのに、あいつが現れたことによって、
彼女との関係が変化する。

やっていることは変わらないのに、そこにはお金が…動く。
それを契約した関係。

あいつは、それを彼女に強いた。
しかし、彼女はそれを拒み…俺は無理矢理説き伏せた。

それからの関係は屈辱的だっただろう。

それでも俺は手放せなかった。
それほど彼女に執着する自分がわからないままに…

「あなたはどこまでバカなの?」

「そうだな。ありがとうって言い合いながら別れるなんて、
らしくないよな」
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