そのキスの代償は…(Berry’s版)【完】
そんな仕事以外どうでもいいと思うようになっていた

俺の前に現れたのがあんな妻(おんな)だった。


役員のお嬢様。ある程度仕事のできるようになった俺に

そんなお嬢様のお守りが命じられた…

うっとうしい。俺はただ仕事がしたいだけなのに…

邪魔な妻(おんな)が付きまとう。

それでも断ることなんてできなくて、仕方がなく仕事を教えた。


こちらを見る瞳が輝いていた。働くことも好きなのか仕事の飲み込みも早かった。

魅力的な女性なのかもしれないが…

俺の好みではなかった。彼女以外欲しいとは思えなかった。


しばらくの間だからと我慢して、そんな生活をしてるとある日上司から

「白石取締役が呼んでいる」と言われた。

取締役は開口一番

「白石家に婿養子に入らないか?」

と微笑みながら俺の視線を探っていた。見合いという名の命令だった。

取締役には娘が一人しかいない。その大事な娘を俺に託したいという事だった。


「少し考えさせてください…」

そう頭を下げて部屋を出た。

好みではなかったが、嫌いというわけではなかった。

これが出世の踏み台になるなら、こんなチャンスはない。

この際利用したやろうと思った。

そして、俺はしばらくして白石聡美(しらいし さとみ)の夫になり、

取締役の大きな屋敷に引っ越した。

聡美との結婚には…

佐伯という男がついてきた。

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