悪魔の彼




荷造りができた私はフロウとその一家、そして……







セシルに最後の別れを告げにいった。







「フロウ、私達をかくまってくれてありがとう。お母様お父様、色々とお世話になりました。」




言い切ると、私は涙目になっているあの子に目をむけた。




「セシル……?」




「シ…ルヴィ……アさまぁ……!ぐしゅ……」



たえていた涙がぶわっとあふれ出てきたようだった。



「いや、いやですぅ……」



必死で首を横に振る彼女を、違うメイドが奥に連れていった。





私はその背中が消えないうちに叫んだ。






「また、くるからっ!今度はもっと遊んでねっ!!一緒にいろんなところに行こうねっ!それまで忘れないでね!!」





私の頬にも雫が伝っていっていた。





「じゃあな、イア、シルヴィア!」


フロウが思っきり元気に声をかけてきた。




私を気遣ってくれている気がした。


最後まで優しい彼に余計に涙が溢れてきてしまった……。








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