Drive

3-3.二つのダブルルーム



空港から程近いペンションは、まるで外国の映画に出てくるようなリゾート地らしい造りで海が一望できる。グループで利用できるコテージがついていたが空きがなく、エクストラベッドが入らないダブルの部屋を二部屋予約してあった。話し合った訳ではないけれど、おそらく石岡が一人だ。

当然そうだと思っていたのに、チェックインを済ませて二つのキーを持ってきた森川が

「グーパーしようぜ」

と、言い出す。

「は?」「いいよ」

石岡と穴瀬が答えたのが同時だった。

「なんで?俺、一人でいいです。」

焦りながら石岡が言うと、森川が笑って言う。

「一人で一部屋なんて贅沢過ぎるよ。ここは公平にグーパーだよ。」

「グーチーでもいい?」

穴瀬が受ける。(そう、その笑い方が、好きだ。)石岡は穴瀬の笑顔を見て思う。二人のその掛け合いを見て、自分だけが変な気を使っていたんだ、と安心感とか恥ずかしさとか色々な気持ちが綯い交ぜになって石岡の心をグルグル巻きにして、嬉しさだけが搾り出されてくる。

「じゃあ、チーパーでどうですか?」

と石岡が言うと、二人が笑って答える。

「じゃ、チーパーで」「オーケー、チーパーね!」

こんな些細な事がこんなに楽しいなんて、と石岡は思う。部屋割りは、森川と石岡、穴瀬が一人の部屋になった。
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