はじまりは政略結婚
すると、佐江さんは大きな目をさらに大きくさせて答えたのだった。

「似合うと思うよ? 由香ちゃんて、かなり顔立ち綺麗だし、前髪は短い方が絶対にいいって。それに、全体的に明るく軽い感じにした方が、華やかさが出ていい」

華やかさ……なんて、一番苦手な分野だというのに。

ますます自信がなくなる私に、佐江さんは思い出し笑いをした。

「昼間は智紀に呼び出されたし、二人揃って同じ日にイメチェンなんて、本当に仲がいいのね」

「え? イメチェンって、まさか智紀も髪を切ったんですか?」

驚く私に、佐江さんはキョトンとした。

「あれ? 聞いてないの? なんだか突然呼びつけられたのよ。ヘアスタイル変えたかったらしいわ」

佐江さんを簡単に呼びつけられることにも驚きつつ、急なイメチェンにもびっくりしてしまった。

だけど、どういう心境の変化なんだろう。

智紀に会うのが緊張する……と思っている間にも、私のイメチェンは着々と進んでいたのだった。
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