はじまりは政略結婚
「本当にありがとうございました」

ヘアスタイルだけでなく、心も軽くなった感じがして、佐江さんに頭を下げるとサロンを出る。

外まで見送りに出てくれた彼女は、最後にニッと微笑んだ。

「親友の私が言うのもおかしいけど、智紀ってばかなりかっこよくなってるわよ。楽しみにしててね」

「そうなんですか?」

顔が赤くなるのを感じながら、頬が緩みそうになるのを必死に抑える。

どんな風になったのか、本当に楽しみだ。

「うん。きっと智紀も、由香ちゃんの可愛さにびっくりするわよ。じゃあ、また来てね」

「はい、ありがとうございました」

はやる気持ちを感じながら、自然と足が速くなる。

外見を変えただけなのに、こんなに楽しく感じられるとは思わなかった。

海里の時は、我流のイメチェンで完全に失敗だったけど、今回は違う。

佐江さんの魔法にかかって、自分が少し変わったみたいだ。

知らなかった自分を感じて、ドキドキと胸が高鳴っていた。
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