color ~蒼の色~
輪を通り抜け、私は唯一の“友”の名を呼んだ。


「…………あー、ごくろー」

机に突っ伏していた身体を起こし、総二郎は軽く右手を挙げた。

「何がごくろーよ。たまには自分で取りにきなさいよ」

「嫌。それ、あおの仕事でしょ」


むかつくったらないわ、こいつ。

「はい!どーぞ!」


むかつきついでに、どんっ!と巾着を置いた。

「今日、何?」

「たまご焼きにきんぴら、それとほうれん草のソテー」

「いいね。じゃ、あとで」


そう言うと、また突っ伏して、眠い……と大あくび。


ほんっと、こいつの態度よ。


何言ったて無駄なことは、長年の付き合いでわかってる私は、何も言わずに教室を出ようとした。


これがいつもの日常。
総二郎のお弁当を届けるのが、私の日常。


じろじろと突き刺さる視線だって、いつものこと。

だけど、その日は少し違った。

教室内にちょっと違和感を感じた私は、後ろの壁を見た。


(絵か…)

クラス全員が描いた絵が展示されていた。

タイトルは“私の学校で好きな場所”
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