color ~蒼の色~
それからというもの、私は(時々平井君も)自称、鬼教師により、みっちりと授業を受けることになった。

鬼教師というだけあり、ぼんやり男はどこへやら…と思いきや、

「優太、そこ違う」

「え!?」

「蒼、ここの意味間違ってる」

「うそ!?」

「……………キミら、真面目にやってよ」

とか言いながら、
「あかあかあか~、みどりみどり~」
と、自分はずっとルービックキューブで遊んでいたけれど。

「ちゃんと見てますから、多分」

「メイビーかよっ!」

「お、よくご存知で~」

「ガチャガチャ遊ぶなっつーの!」

よく平井君に怒られてたけど、目が合うといつも笑って言うんだ。


「蒼」


なんだか照れくさい。

そんなとき決まって平井君は、
「だから空気読めって…………」
と、ぼやいていた。


そんな私たちは、勉強会のおかげか、無事に合格することができた。


ただひとつ違うのは、同じ高校でも、私と平井君は普通科、総二郎は特進クラス、いうなれば進学クラスへと進むこととなった。

「親がD校行くならせめて、特進いけってうるさくてなぁ~」

もう少し上のランクにいって欲しかった総二郎の両親は、言い出したら聞かない息子に、やや呆れながらも、妥協策として、特進クラスを条件に出した。

(まぁ、そりゃあね…)

よく許してくれたな、とおばさんたちの懐の広さに感心してしまった。






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