color ~蒼の色~

強さ。

朝、いつもと変わらない朝。
昨日の余韻か、まだ夢を見てるみたいだった。

「おはよーさん」

「おはよ」

私の家の前で、いつものように総二郎が待っていて、挨拶をして。
顔を見たら昨日を思い出してしまい、真っ赤になってうつむいたら、指に絡んで来た総二郎の手。
引き寄せられて、耳元で囁かれた。

「朝っぱらから恥ずかしい色。思い出した?」

恥ずかしくて死んじゃいそうで、思わず手を離そうとしたら、また力強く引き寄せられた。

「だめ、行こうぜ」

からかうように笑われ、ギュッと握られた手から、きっと私の気持ちなんてバレバレなんだろう。

「今日は3人でお昼食べようね」

「はいよ」

いつもと変わらない朝なのに、こんなにも照れくさい。
手を繋いで歩く、いつもの駅までの道。

幸せ。
昨日のことが、夢じゃないと、繋いだ手が教えてくれた。

未だ冷めぬ余韻に浸りながら、学校までの道を総二郎と歩いた。


「おはよう、まどか」

「蒼ちゃん、総二郎君、おはよう。昨日はありがとう」

「おはよーさん」


同じ時間に電車に乗れるよう、まどかとも時間を合わせていた。

「二人、ほんとに仲良いんだね」

繋がれた手がそのままだったことに気づき、私は慌ててその手を解いた。
それがおかしかったのか、まどかはクスクスと笑ったので、人に見られた恥ずかしさと、照れくさいのとで、うつむいたまま、なかなか顔が上げられなかった。

「照れなくていいのに。蒼ちゃん可愛い」

「可愛くないっ!」

まどかまで私をからかうものだから、ついつい声を荒げてしまった。

「それがな、西尾。蒼ってば朝っぱらから昨日のこと思い出して、デレデレと…」

「昨日?」

「そう、昨日あれからキ…「きゃーーっっ!!」

何を言うんだ、この男は!
二人揃ってニヤニヤし、私をからかっては声をあげて笑った。
周りの視線が突き刺さるように、ビシビシと痛いっていうのに、途中下車したくなる思いだった。
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