3秒小説
にひゃくろく


台所の隅に、いつの間にか深い深い穴が開いていた。


ある日、父がその穴にあやまって落ちた。


その瞬間、私たち家族はみんな父の存在を忘れてしまった。父はいないことになった。


その穴は、いまもまだ台所の隅にある。


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