3秒小説
ろっぴゃくいち


夜中、顔を真っ白にぬりつぶした女のひとがたずねてきて、


「これ、あなたの。返す」


と言って、十年前に事故で無くしたわたしの手首をさしだした。


女のひとはすぐに帰った。


どう育てられたのか、手首には目や口があり、動くようになっていて、ぎえ、と鳴いた。


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