ヤンキー君と異世界に行く。【完】
(女性は貴重って……ほとんどラスさんしか見てないじゃない)
仁菜はため息をついて、横を見る。
光を七色に反射する金髪、陶器のような毛穴レスな肌、バンビみたいなまつげに、目はアクアマリン。
しょうがないよね。天使みたいだもん。
「俺は仁菜もじゅうぶん可愛いと思う。気を落とすな」
「アレクさん……下手ななぐさめはよしてください。
気にしていませんから」
さっきまで萌えていたのに、いざ他人が全く自分に興味がないことがわかると、少しへこむ。
「でも浴室ってさ……どうなってんだろ?」
そんな仁菜の気持ちに気づかず、ラスが首をかしげる。
そのとき、御殿の使用人らしき男たちが駆け寄ってきた。
「お待たせしましたお嬢様方。こちらへどうぞ」
「えっ……」
「殿方は、隣の浴場へどうぞ」
ま、ま、まさか、この展開は~!?
「ちょ、おい、どうすんだ仁菜!」
「静かにしろハヤテ!」
慌てる颯を、アレクが静止する。ここで騒ぐのはまずい。